今回の「ひとりごと」は昨秋亡くなった母の思い出を綴ります。

長い間、病魔(心臓病)とたたかい、私でしたらどれだけ「病」を
うらめしく思ったでしょう。
もっと人生を存分に味わいたかったでしょう。
母が大学ノートに綴っておりました”短歌”が枕もとから出てきました。

中からいくつか拾ってみたいと思います。

★ 年なりと 思うことより 我を打て 学び取りたし跳んでる友を
  (見舞いに見える友人達を羨ましそうにみておりました)

★ 空澄みし 小鳥さえずる桜枝 しがみつくごと 花芽のありて

★ 艶やかな 葉かげに椿の紅つぼみ 日毎ふくらみ色のさやけし

★ 無情にも 矢ガモと名づく鴨つよし 共にたつ日の治癒を祈らむ
  (矢ガモと自分を重ねて哀れんでいたのでしょうか)

 ★やっと得し 自由の時を老二人 心満ちたる日の遅きかも
  (父の定年後 のんびり暮らす日を夢みていたのか・・)

ノートに切り取って貼り付けてありました「折々のうた」の中から

”吾は恋へど汝は背くかも汝を背く 人をこはせて我よそに見む”

マイペースな人生を歩んだ、亡き父への思いもあったのでしょう。
自分の思いに似た歌を切り取っていた母の別な一面でもありました。

母が亡くなって3ヶ月 悲しみからは早くに立ち直れましたが、
ノートを紐解くのには少々辛いものがありました。

娘にとりまして「母のいない実家なんて〜」法要も済みますと
足もちょっぴり遠のきました。
でも、実家で兄嫁と「お母さんは自分らしく日々を重ねることができたわね」
と母の思い出を語り、帰路につく足取りは往路よりも軽やかです。

今年の春は母の分まで頑張れそうな気がします


 2002/3
つづく